論理的思考を実践する上で知っておきたい「アブダクション」【思考法】

論理的思考を実践する上で知っておきたい「アブダクション」【思考法】

こんにちは!ひらめき編集部の宮田です。早速ですが、「アブダクション」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。これは「仮説形成」を意味する言葉で、論理的な思考を行う際や問題解決の場面で非常に重要になってくるポイントです。

仮説の重要性は頭にあるものの、改めて「仮説とは何か」と聞かれると案外答えるのが難しいのではないでしょうか。今回は、「推論」という文脈に触れてみることで、仮説についての理解を深めていきたいと思います。

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アブダクションについて知る

3つの推論法

推論とは

まずは、アブダクションについて入る前に「推論」について確認します(アブダクションも推論法の一つであるため)。「推論」とは、既知の情報から未知の事柄について論ずることです。

論理的思考を実践する上で知っておきたい「アブダクション」【思考法】

問題解決の場面においては、問題の答えが画一的に決まっていることは少なく、何かしら既知の情報をもとにして、解決策を考える必要があるため、この推論の考え方を知っておくことは重要になります。その推論の方法として、「演繹法」「帰納法」「アブダクション(仮説形成)」があります。以下、それぞれ見ていきましょう。

演繹法

演繹法とは、ルールや法則、理論などの一般的に正しいとされている事象や情報から結論を導く推論法です。代表的な手法として「三段論法」があり、三段論法では「大前提」「小前提」「結論」という順に論理を構成します。

例えば、「人はみないつか死ぬ」という大前提があり、「自分は人である」という小前提があったとるすと、ゆえに「自分はいつか死ぬ」という結論が導き出されます。大前提にあたる部分が一般に正しいとされていることに該当します(今回で言えば「人はみないつか死ぬ」部分)。このように、前提となる情報によって自動的に帰結する考え方が演繹的な考え方です。

帰納法

帰納法とは、観察事象の中から共通性を見つけ出し法則や理論などの「一般論」を結論として導き出す推論法です。例えば「りんごは支えられていなければ落下する」「バナナも落下する」「本も落下する」「電球も落下する」「人も落下する」…といった事柄の観察結果から、「物体は支えられていなければ落下する(と考えられる)」という一般論を導き出すことができ、こうした思考のあり方を帰納法と言います。

帰納法は観察した事象からの「予測的な結論」であるため、演繹法に比べると論証力が弱い推論法となります。しかしその代わり、演繹法の様に自動で結論が導き出されるのではなく、一般化のプロセスには自由度があり、創造性に富んだ思考である点が魅力です。何かを新しく発見しようとする歩みの中では、帰納的な思考が欠かせません。

アブダクション

演繹法、帰納法と並んで第三の推論法とされるのが「アブダクション」です。アブダクション(Abduction)は日本語に訳すと「仮説形成」に該当し、文字通り「仮説」を生み出していこうとする思考法です。問題解決を主題としたビジネスの文脈の中では、「仮説」を「(暫定的な)仮の答え」とし、仮説を検証することによって解決策の質を高めていくこうとする思考や方法論が紹介されています。

これを推論の文脈から考えると、「観察された事象について、その理由を説明するための仮の理論を考えること」とすることができます。

上記の例で「りんごは支えられていなければ落下する」「バナナも落下する」「本も落下する」「電球も落下する」「人も落下する」…といった事象を観察したとして、これらの事象が起きる理由を説明するための理論や一般法則を考え、まず仮の理論を設定してみることがアブダクションのイメージです。

例えばここで、物体が引き合うという万有引力の考え方を仮説として考えるなどです。こうした思考のあり方が、アブダクションであり、アブダクティブな思考と呼ばれます。

帰納法とアブダクションはどう違っているか

帰納法もアブダクションも、実際に観察した事象から思考を進める推論法ですが、両者には違いがあります。帰納法が「観察事象と同じ事象を他の場面においても推論すること」であるのに対し、アブダクションは「観察事象とは異なる種類の何かを推論すること」であり、時には目に見えない物事を推論することもあるという点です。

上記の例で言えば、帰納法によって「すべてのものが落下する」という結論を導くことができますが、「物体の間には引力が働いているのではないか」といった思考には、物事を観察し分類するだけでは行き着きません。その事象を「説明しようとする」プロセスがあることで、「物体の間には引力が働いているのではないか」などの仮の理論を生み出すことができる(生み出しやすくする)という訳です。

問題解決における推論法の活用手順

では、問題解決や企画立案の場面において、どのようにこれらの推論法を取り入れていけば良いのかを考えてみましょう。まず、これらの推論法は以下の様に分類されます。(パースの考えた分類)

それぞれの推論法の位置付け

論理的思考を実践する上で知っておきたい「アブダクション」【思考法】

「推論」はまず大きく「分析的推論」と「拡張的推論」の2つに分類されます。分析的推論とは、前提の内容を分析し、その内容に含まれている情報を結論として述べることで結論を導き出す推論のことです。方法論としては「演繹」的な思考が該当します。

もう一方の拡張的推論とは、具体的な観察事象から一般論や理論、仮説を導き出そうとする推論法で、「帰納」と「アブダクション」が該当します。(両者の違いは前述の通りです。)

アブダクション→演繹法→帰納法の順で仮説検証サイクルを回す

上記の様な分類を頭に置いた上で、これらの推論法を問題解決の場面で用いる場合には、下記の流れが一つの流れとして存在します。まず、❶アブダクションによって仮説を立案します。❷それによって得られた前提に基づいて観察されるべき事象を演繹法によって導き出し、❸帰納法を用いて仮説が正しかったかどうかを検証するという流れです。

論理的思考を実践する上で知っておきたい「アブダクション」【思考法】

例えば、ディスプレイに並べている商品AとBとFとGが売れているとして、それらの商品がなぜ売れているのか?という仮説を立てます(アブダクション)。すると「季節のトレンドに合っているから」「価格が安いから」などいくつか仮説が生まれます。繰り返しになりますが、ここでは、何故売れているかを「説明しようとしてみること」が重要です。その説明をしようとする過程で、仮の理論や法則が生まれ、それが仮説となるからです。

考え出した仮説の中で「関連商品も一緒に並べると結果としてそのメインの商品が売れやすくなるのではないか」という仮説が検討の余地有りであると考えた場合、関連商品を用意したセットとしての見せ方をいくつか他にも用意し(演繹)、それらが本当に売り上げを伸ばすかどうか情報を集め(帰納)、仮説の正しさを検証するなどの考え方ができます。

おわりに

以上、論理的思考を実践する上で知っておきたい「アブダクション」【思考法】についてでした。今回はアブダクションについての概要を紹介しました。今後、アブダクション部分で複数出てくる仮説の中から、どんな仮説を選択して検証すべきかといった、「仮説の選択」についてもコンテンツを追加していきたいと思っています。

なお、今回の内容はパースの唱えた思想をベースとしています。もっと詳しく知りたいという人は下記の文献ならびにおすすめの書籍をチェックしてみてください。

参考文献&オススメ書籍

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